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不安の中に


「わかる時とわからん時がある。どうしようもない気分になる。」

やり場のない怒りを目に涙を浮かべて訴えてくれました。

認知症であることを医師から話されたという80代の作り手

今  絶望的な気持ちで  状況を悲観して、

無気力になったり、急に投げ出したり、怒りっぽくなったり

そんな日が増えてきました。

じっと椅子に腰かけて考え事をするように目を閉じて過ごすことが増えてき

ました。

「おれは認知症やから何もできんよ」そんなことを口にする事も増えました。

活動は無理強いせず、失敗しないセッティングをして

ご本人が気持ちの向くままに過ごせればいいと思っています。

理解と納得は別物 特に自身の病気の事となれば

当事者にしかわかりえない苦悩や葛藤があるはずです。

でももし気持ちが落ち着いている時には

いつもの作業スペースに来て欲しい

あなたのつくるバターナイフやスプーンが

ただ「物」として素晴らしいのではなく

販売の先にある支援を理解した愛情や

制作の途中、周囲に配慮して活動する心配り

職業人としてのこだわり

手を動かす事が好きだと分かる器用さ

できあがった物を車椅子やベッドで過ごすご利用者に見せてくれる優しさ

人として目指すべき姿を後輩の私たちに見せてくれます。

それは意識下で ご自身の生活史の中で培われた価値観。

「その人らしさ」として、とてもきらきらして映るものです。

この長寿社会です。大なり小なりの病気と生きていかなくてはいけません。

それがたとえ認知症であっても

その人らしさは失われてはいけない。

いつものスペースといつもの仕事はちゃんととっています。

もし不安になったり分からなくなっても大丈夫です。

そのために僕たちがいます。

いつでも待ってますよ。

そして苦しい時こそになりたいと思っていますよ

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